くるしい

5月15日水曜日、午前7時45分。

午前中は授業がない日だから、いつもより1時間半遅く起きた朝。アラームを止めてそのまま携帯の画面を見ると、朝5時に届いていた男友達からのラインの通知。この時からちょっと嫌な予感はしていた。どうしたのかとすぐに返信したら、ちょっともったいぶった返事が来た。何ターンか会話して、恋愛相談に乗ってほしいと告げられた。

嫌な予感が増した。

簡潔に言うと、告白を手助けしてほしいという内容だった。ドキドキして、朝ごはんの味がしなくて、到底喉を通る訳がなかった。用意してもらったご飯を残すのは私のポリシーに反するからどうにか流し込んだが。頼むからこんな予感は当たらないでくれと祈りながら、彼が告白したい相手が、私がずっと思い浮かべていた相手なのかどうかを尋ねた。返信が来るまでの時間が永遠のようだった。

当たっていた。当たってしまった。彼が気持ちを伝えたい相手は、私が恋をしている女の子だった。なんでこうも嫌な予感って当たっちゃうんだろうな。胸が苦しい、だなんてよく聞くけれど、本当にあれほどぎゅーっと痛くなるんですね。苦しい。朝からずっと苦しい。学校に向かういつもの道のりがモノクロに見えた。今にも地面が崩れていくんじゃないかって思った。イヤホンから流れてくるバニラズのニューアルバムだけが救いだった。子供のように泣き喚いて駄々をこねたかった。

今日1日の記憶が曖昧だ。ぐったりだ。つかれた。頭も手も口も耳もろくに動かなくて、いつにも増してポンコツで、好きな人からは「大丈夫ー?疲れてんの?」なんて笑われた。泣いちゃいそうだった。彼の返信を読んで、「だとしたら協力できない」と返した。当然理由を聞かれた。「いくらでも嘘はつけるが正直に話したい。でもそれには覚悟がいる。覚悟が決まったら2人で直接話したい。」と答えた。と、いうところで会話は止まっている。

ここまできたら、彼にはカミングアウトしてしまおうかと思っている。まだ覚悟は決まっていないけど。でも、彼女に直接私の気持ちを伝えるまでは、このブログとツイッターを除いては、自分の中だけに秘めておきたいという葛藤もある。自分の声で好きだと伝えるのは、彼女が1番はじめがいい。

今日も学校にいる間は、私と好きな人とその彼と3人でいたし、帰り道のほとんどは彼と2人きりだった。話は切り出せなかった。私から話を切り出せる気がしない。彼が尋ねてくるのを待とうか。このまま黙ってたら何にもなかったことになったりしないかな。無理か。

私が協力することは断ったけれど、遅かれ早かれ、彼は彼女に告白してしまうだろう。そんなの嫌だ。もしそれで2人が付き合うことになんかなるのも、絶対に嫌だ。2人が仲を深めていく様子をそばで見ているなんて、絶対に嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。また胸が苦しくなってきた。私の中の醜い感情ばかりが大声を上げる。 くるしい。

彼と彼女は異性。私と彼女は同性。スタートラインがそもそも違うんだ。勝ち目なんてあるんだろうか。どうすりゃいいんだよ。ただでさえマイノリティだったのに、こんなハードモードに陥るなんてこと、あり得るのかよ。想像以上に面白いな、人生。

今朝から心がぐちゃぐちゃにかき乱されている。どうすればいいのか、本当にわからない。親にも友達にももちろん彼女にも相談できない。抑えきれなくて衝動的にこのブログを書き殴っている。

ここまで書いて寝落ちしてた。寝て起きたら全部悪い夢だったりしないかな、なんて思ったけど、彼と交わしたラインは残っていたし、このブログの下書きも残っている。

どうしたら悲しくないのか、苦しくないのか、今までの19年間をなあなあに生きてきた私には正解が見つからない。私の恋を止める権利が誰にもないように、彼の恋を止める権利も誰にもない。わかってる。こんな苦しい思いをするなら、自分の気持ちなんか捩じ伏せてしまえば良かったんだろうか。

今もまた、学校に向かっている。彼女にも彼にもどんな顔で会えばいいかわかんないな。いつも通りに笑えるだろうか。